「……え?」

「やはり舞弥は近くで見た方がより可愛いな」

ぽかんとする舞弥。

思いっきり見てしまった玉は口をあんぐり開けたあと、顔を真っ赤にさせて手で顔を覆った。

「い、い、壱! 人前ですることじゃないぞ!」

「このくらいお前の前でも普通にするから慣れろ」

「ぴゃーっ!」

玉が気恥ずかしさから叫ぶ中、舞弥はまだ呆然としている。それから三秒ほど経って……

「ぴ、ぴぎゃーっ!」

舞弥の悲鳴が、結界で覆われた部屋の中に響き渡った。



+++



「舞弥、悪かった。俺が悪かったから玉を被るのはやめてくれないか」

「っっっ」

真っ赤な顔で部屋の隅に縮こまって、やはり頭に玉を被っている舞弥に壱が近づこうと試みていた。

「壱よお、舞弥の恋愛耐性の低さはこの通りなんだから加減してやれ?」

この前のように両手両足を掴まれて、舞弥の頭の上で伸びた状態の玉の言葉に、壱は反論出来なかった。

舞弥の方が混乱しているので、恥ずかしがっていた玉はむしろ冷静になっている。

「ご、ごめ、んね? いち……。は、はじめてでもないのに……」

「えっ? そうなのかっ?」

「玉、そこはツッコまない。謝るのは俺だ。気を付ける」

舞弥がカタコト調だが喋ってくれたので、壱は安心した。

「う、うん……」

「さて、もう遅いから寝よう――と言いたいところだが、玉の件が片付いたついでにもうひとつ片付けておきたいと思う」