さっきみたいに冗談を言っている素振りではなく、真剣な眼差しで私を見つめてくる。


「花純が笑ってると俺が救われるからさ」 


「笑ってるだけで…?」


「そ。花純の笑顔は超能力みたいなもん。俺の心を癒やしてくれる」


私の笑顔が…?


蒼空を癒せるの…?


「それでさ、たまーにでいいから俺の弱音聞いてよ。それだけで俺は生き延びれる気がするから」


“生き延びれる”か…。


サラッと飛び出した表現だけど、蒼空にとっては毎日が生死の境なんだと分かる言葉選びだった。


「たまにと言わず、毎日でも聞くから。毎日でも、毎時間でも毎分でも」


「んふふ。ありがと、助かる」


「無理しないでね」


無理して笑わないでね、無理して耐えないでね。


いつでも頼ってね。


「学校では無理するかもだけど、花純の前ではしないって約束する」


「わかった。約束だからね」


学校で無理するのは、それが蒼空にとって最善だから。


それは私にも分かるから何も言わない。


だから、私の前だけでも安らいでほしい。


「花純に話して正解だった。本当にありがとう」


「ううん、こちらこそ話してくれてありがとう」


「じゃ、食べよっか」