でも、あの子もお父さんに虐待されてるんだよね…。


あんなに小さいのに…。


「俺の妹…日和(ひより)はさ、父親のDVの末に産まれてきた子なんだ」


…それは…つまり…。


「母親にとっては望まない妊娠。いらない子。もちろん、父親にとっても」


そんな…。


ひどい…。


「まだ小1なのに、父親からも母親からも虐げられて…。可哀想で可哀想で…。でも俺、なんもしてやれねぇんだ」


“俺は無価値”


蒼空のその思いは、日和ちゃんへの罪悪感から生まれたもの…?


「俺は父親からの暴力に耐えればいいだけ。でも日和は、母親からも虐待されてて…」


「…児童相談所は…?助けてもらえないのかな…」


「…逆恨みが怖い。それに、確実に離れられる保証はないから。花純も会ったなら分かるだろうけど、俺の父親は外面がいいから、村の誰も俺の話なんて信じてくれない。それなりの有力者だから、虐待やDVなんて無かったことにできるのかもしれない。そんな状況で、相談なんてできない」


耐えるしかない、そう言ってパンケーキを口に放り込んだ。