ドクンっ


目が合った瞬間、心臓が跳ね上がる。


「さっ、行こ。のんびり歩いてたら日が暮れる。森下さん家遠いから」


「う、うん」


言われたことがない言葉ばかりでドキドキしちゃう…。


「それと、俺のことは呼び捨てでいいからね。同い年だし」


「あ…うん…」


蒼空くん…蒼空は…何の意識もせずにポンポン言ってるのかもしれないけど、私は一つ一つの言葉が嬉しい。


さっきは笑っちゃったけど、蒼空にはボロボロになった心を修復する力が本当にあるのかもしない。


「森下さん家は、ここをひたすら真っすぐ進んで、突き当りを右に進んだところにあるんだけど、それがとにかく遠いんだよ」


「そうなんだ。このあたりは駅の近くなのに全然家がないんだね」


「うん。あ、でも俺ん家は近いよ。ここら10分くらい」


近くても10分なんだ…。


父親から話には聞いてたけど、本当にど田舎なんだな…。