「じゃあ案内しよっか?俺で良ければだけど」


「いいの??」


「うん。暇人なの、俺」


ハハッと笑って彼は歩き出した。


その後ろをついて歩く。


だだっ広い道路が一直線に続いている。


左手には錆びれたガードレールが並び、その向こうは崖。


右手には田んぼと畑しかなく、さらにその向こう側は森。


「花純ちゃん、今年から何年生?」


まだ名前も知らないカッコイイ彼に“花純ちゃん”と呼ばれ、心臓のあたりがくすぐったくなる。


「2年生だよ。あなたは?」


「あ。名乗ってなかったっけ。ごめんごめん。俺、茅野蒼空(かやのそら)。蒼空って呼んで」


「…蒼空くん…。名前まで綺麗なんだね」


爽やかな名前がとても似合っている。


「名前褒められたの初めてかも。ありがと。花純ちゃんも可愛い名前だよね。どういう字?」


「お花の花に、純粋の純。名前負けしてるんだよね」