蒼空は心底意外だという顔で振り向いた。


「お気に入りだから教えるんじゃん」


「取られたら嫌じゃない?」


お気に入りのものほど隠したくなる。


次にここに来たとき、他人がいたら嫌じゃないのかな。


「俺だって、誰にでも教えてるわけじゃないよ。花純には教えたいと思ったから教えてる。だからこの場所は俺らだけの秘密ね」


私たちだけの秘密…。


「他に知ってるのは、俺の妹と幼なじみだけ。秘密基地感あってよくない?」


無邪気に笑う蒼空は、この世の汚れを何も知らないような綺麗さを持っている。


色に例えると白。


きっと、この町で伸び伸びと育ってきたんだろうな。


…羨ましい。


「ほら、着いた!見てこれ!落ち着くでしょ」