ここから先が舗装されていないのは、危ないからじゃないの?


蛇とか熊が出たらどうしよう。


「大丈夫。この先何もないから舗装されてないだけで、安全な場所だから」


「ふーん…」


蒼空が言うなら間違いないか。


ちょっと不安だけど黙ってついていこう。


不思議だけど、蒼空になら何もかも預けられる。


私のペースに合わせてゆっくり先へ進んでくれる蒼空。


森の中はヒンヤリ涼しくて気持ちいい。


小さく虫が鳴く声もする。


「いい場所だね…」


疲れた心が癒やされる。


「うん。水の音、聞こえる?」


耳を澄ませば、虫の音にマジってかすかに水が流れる音が聞こえてきた。


「この先、ちょっとした滝があんの。大したことない滝だけど、俺のお気に入りの場所だから案内したくて」


「お気に入りの場所なのに、なんで教えてくれるの?」