「…うわ……本当に田舎だ……」


申し訳程度のオンボロ屋根と、錆びきったベンチしかない無人駅に降り立つ。


興味本位で蜘蛛の巣だらけの時刻表を見ると、2時間に一本しか電車はないみたいだ。


電車と言っても、1両しかないバスのような電車だけど。


4段程度の階段を降りると、そこは整備されていないガタガタのアスファルト。


真緑の雑草は高く力強く生えている。


見渡す限り草。田んぼ。草。


どうやら駅はこの町の1番南にあるらしい。


生命力の強い木々の隙間をくぐり、近くの砂利の細道を下っていくと、岩場にたどり着く。


その岩場から下を見下ろせばエメラルドグリーンの海が広がっている。


風もなく穏やかな波。


見上げれば群青色の空と真っ白い雲。


「絵に書いたような田舎だなー…」