「まずどこから案内しようかな〜。とりあえず学校行ってみる?」


「うーん…。学校はいいや」


校舎を見ただけで目眩がする。


あんな場所、行きたくない。


「そっか。なら俺のとっておきの場所、案内しようかな。乗って」


にっこり笑って自転車に跨がる蒼空。


いかにもワケアリ感を出してしまった私に、嫌な顔ひとつしない。


優しい人だなぁ…。


なんで、優しくしてくれるんだろう。


どうして、私なんかに構ってくれるんだろう。


「この村ってさ、けっこう住人同士の結びつきが強いんだよ。だから、一人になりたくてもなれないときがある。そんなとき、俺が行く避難場所」


おじいちゃんの家から5分ほど森の中を進んだところで、自転車が停まった。


「ここから先は徒歩。足元危ないから気をつけて」


さっきまで通ってきた道はちゃんと舗装されていたけど、ここから先は本当にただの山道。


「入って大丈夫なの?」