蒼空から離れたくて、もう考えたくもなくて、いっそのこと私も全部忘れたくて、彼から逃げた。


走って、走って、息ができなくなるまで、とにかく走った。


「森下!!」


追いかけて来てほしい人は追いかけて来てくれない。


来るのは赤嶺くんだけ。


「森下!待てって!」


息ができない。


前に進めない。


「森下!」


ぎゅっと赤嶺くんが身体を支えてくれるのがわかった。


彼の身体に倒れ込むようにして全身の力が抜けた。


「大丈夫…じゃないよな…。とにかく落ち着いて」


彼の腕の中でゆっくり息を吸って全身に酸素を送る。


モヤがかかって真っ白だった頭がだんだんクリアになっていく。


周囲の人の視線を感じてはじめて学校の外に飛び出していたことを知った。


そして、赤嶺くんが今朝捻挫したばかりだということも思い出した。


「赤嶺くん、ごめん…。足……」