「ねぇ…蒼空…」


蒼空の手を掴み引き止める。


覚えていないなんて嘘だよね?


冗談だったんだよね?


そうだって言って笑ってよ。


「え、なになに、2人知り合いだったの?」


「違う」


クールな表情を崩さず手を振り払う。


あの頃の蒼空ならこんなことしなかったのに。


「…森下?」


ずっとずっと会いたかった。


蒼空がいなくなったあの日から、私は時が止まっている。


前に進もうと思っていた矢先、目の前に現れたかと思ったら、まるで別人。


そんなの、受け入れられる?


どうして私のことを覚えていないの?


なんで?


なんでそんなに冷たいの?


「“何年、何十年先も、一緒にいよう”って言ってくれたのに…っ」


「…悪いけど、何も覚えてない」


「どうして…っ」


せっかく会えたのに。


運命だと思ったのに。


「ひどいよ…っ」


「森下!!」