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放課後、先生に頼まれて赤嶺くんと一緒に学校案内をすることになった。


気まずい以外のなにものでもない。


私は蒼空を好き、蒼空は私のことを覚えていない、赤嶺くんは私に好意がある。


こんなメンバーで学校を一周するなんて、最悪の空気だ…。


「桐谷って前の学校で何部だったの?」


「部活はしてなかった」


蒼空は会話する意思がないのか、赤嶺くんに対しても素っ気ない。


あの頃の蒼空とはまるで別人。


私が知っている蒼空は明るく気さくなムードメーカーだった。


まさか本当に別人だなんてことないよね?


でも、顔は全く同じだし…。


別人なはずはないんだけど…。


「桐谷と森下、髪色オソロじゃん」


赤嶺くんの手が私の髪に少しだけ触れた。


パシッ


その手を蒼空が振り落とす。


「ん?」


赤嶺くんがキョトンとしている。


「悪い」


蒼空が赤嶺くんに謝り、何事もなかったかのようにサクサク廊下を歩き続ける。


……っ。


むりだよ。


私にはそんなふうにスルーできない。


どうして振り払ったの?


やっぱり私のこと、覚えててくれてるの?