萌音に連れられ家に帰ると、もしかしたら蒼空がいるんじゃないかという淡い期待が簡単に打ち砕かれた。


蒼空は一度も戻ってきていないらしい。


お風呂に入り、おばあちゃんが淹れてくれた白湯を飲み、落ち着いた頃には夜の9時を回っていた。


居間にはおじいちゃんおばあちゃん、萌音、真由、律、真中さんという異色のメンバーが集まっている。


「村中手分けして蒼空を探したけど、見つからなかった」


おじいちゃんが重い口を開いた。


どんより重い空気が居間を支配する。


窓の外ではゴロゴロと雷が唸る声がする。


「…花純まで行方不明になったのかと思って心配したんだから」


真由が声を震わす。


「…ごめん」


必死だった。


蒼空を見つけたくて、無我夢中だった。


何かあったに違いなくて、きっと蒼空は私たちの知らないどこかで苦しんでいる。


救いたい。守りたい。


私の思いは達成できたことがない。


いつも思うだけ。


救えたことも守れたこともない。


口だけの最低な人間。