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夏祭りは中止になった。


土砂降りの雨と暴風で。


「花純…!!!!」


白いモヤがかかった視界で、ぎゅっと抱きしめられる感覚が走った。


「蒼空……」


「蒼空じゃない。萌音だよ!ねぇ、こんな雨の中で傘もささず何してんの!!森下さんたち心配してるよ!?」


肩を揺さぶられ、視界がグラグラ揺れる。


「蒼空がいないの…っ」


「わかってるよ!!わかってるけど、どうしようもないじゃない!とにかく、家に戻ろう??」


「嫌っ!!蒼空を見つけるまでは帰らない!!」


約束したんだ。


一緒に髪飾りも選んだ。


6時に迎えに行くって言ってくれた。


これからもずっと一緒にいるって、約束した。


蒼空がいなくなるわけない。


絶対に、見つけるんだ。


「落ち着いて!!そんなに必死になんなくても、きっと見つかるよ!このままじゃ花純が倒れるよ!?」


激しい雨が全身を打ちつける。


風が強く横殴りの雨のせいで目も開けられない。


それでも、私は蒼空を探す。


「花純、落ち着いて。お願い…。家に帰ろう。一旦、家で話そう」