「あれ、森下さんいないの?おかしいなぁ、車あったんだけど。畑かなぁ」


畑…。


自分の畑を持ってるんだ。


おじいちゃんって実はすごくお金持ちなのかなぁ。


「畑まで行ってみる?それともここで待っとく?」


「一緒に行きたい」


見知らぬ家で一人ぼっちは寂しいし不安。


逆に、蒼空がいればどこに行っても怖くない。


「じゃ、行こ。こっち」


一度家を出て、軽トラと軽自動車が停まっている駐車場を通り抜ける。


ちょうど家の裏に当たる場所には細いあぜ道があり、蒼空はそこをサクサクと進んていく。


「落ちたら泥だらけになるから気をつけて」


「う、うん…」


泥より虫が気になるなぁ…。


小さな虫がたくさん飛んでいて、息を吸うと口に入りそうで怖い。