「花純はどうしたいの?」


主語を強調する蒼空は、相変わらず私の心情を察知するのが上手だ。


「私は、蒼空と一緒にいられたらどこでもいい」


蒼空が村を出ていくというのなら私も出ていくし、残るのなら私も残る。


「俺のことはいないものとして考えてよ」


「どうして?蒼空はいなくならないでしょ?」


蒼空抜きに考えることなんてできるわけがない。


蒼空は私の一部だ。


何をするにも頭の片隅に必ず蒼空がいる。


「花純の人生は花純のものだよ。俺なんかが干渉していいものじゃない」


蒼空はこうして時々心の闇をチラつかせる。


自己肯定感が低くて、自分の価値を全然分かっていない。


私がどれだけ蒼空のことを大切に思っているのかも、分かってくれていない。


「今さら干渉できないなんて言ったって遅すぎるよ。もう蒼空は私の人生の一部だし、私の最愛の人だから。蒼空がいない人生なんて考えられない」