時は流れて冬。


この村に来て初めての冬は、大雪が続く大変な冬だった。


「なぁ花純」


私の家のこたつに潜り込んで猫のように丸まっている蒼空。


キュルキュルした目で見上げられ、愛おしさが込みあげる。


「花純はさぁ、高校どうすんの?」


「んー…」


テレビを消して蒼空と向き合う姿勢をとると、蒼空も身体を起こして向かい合ってくれた。


秋以降、学校の先生がやたらと“進路、進路”と言い始めた。


この村には高校はなく、電車で街の方まで通うか、下宿するかの二択だ。


この村から、街の高校に通うとなると、電車で1時間半以上かけて通学することになる。


それがツラいと思うなら、寮制の高校に行くか、一家で都会に引っ越すか。


割合としては、この村から通学する人が例年過半数を占めているらしい。


「ご両親に、戻ってこいって言われてるんでしょ?」


「…まぁ」


今さら“高校進学を機に戻ってこい”だなんて、都合が良すぎる。


不登校気味になっていた私を見捨てたくせに。


こっちの学校で不登校を解消した途端、呼び戻すなんて、結局彼らは“世間体の良い娘”がほしいだけだ。