答えはなかった。


代わりに、ギューッと強い力で抱きしめられる。


「蒼空…」


ギュッと抱きしめ合い、花火が弾ける音だけを耳で拾っている。


時折歓声が聞こえ、花火の豪華さを感じ取ることができる。


「花純…。俺と付き合って…?」


耳元で囁くような弱々しい声が聞こえた。


トラウマ、不安、恐怖。


いろんなものと戦いながら下してくれた決断だ。


「もちろんだよ。ありがとう」


大切にしたい。


蒼空のことは私が守る。


私が救う。


「チューしていい?」


「…さっきしたじゃん」


面と向かって言われると恥ずかしい…。


「足りない。だめ?」


「…ダメじゃないけど……」


子犬のような目で見つめられて断れるはずがない。


唇と唇が重なり合った時、1番大きな赤い花火が光って咲いた。


余韻を残しながら、パラパラパラ…と散っていく。


私は今日この瞬間、何よりも大切な、命に変えてでも守りたい、最愛の人を手に入れた。


“ハート型の花火の時にキスしたカップルは永遠に結ばれる、って言い伝えがあるんだよ”


そう、ずっと一緒にいられると、信じて疑わなかった。