「…俺は、花純のことが好き。でも、付き合ってほしいとは怖くて言えない。ごめんこんな男で」


図書室で不安を打ち明けてくれた日のことを思い出す。


蒼空は、自分がお父さんみたいになるんじゃないかと恐れていた。


「私、蒼空が誰よりも優しいのを知ってるよ。いつも皆のことを気にかけてて、困ってる人がいたらすぐに助けてくれる。そんな人がDVなんてするはずない」


「傷つくのは花純だよ」


明るい花火が、蒼空の悲しそうな横顔を照らす。


「蒼空は私を傷つけたりしない。絶対に。…それとも、私の言う事が信じられない?」


「花純の言うことは信じてるけど…」


「だったら、信じてよ。蒼空は優しい。人を傷つけるような人間じゃない。だから私は蒼空を好きになったんだよ。蒼空といる時間が何よりも幸せなの」


この想い、届いてほしい。


蒼空の傷ついた心を癒やしたい。


「蒼空と一緒にいられる時間が、この世で一番の宝物だよ。蒼空はいつでも私を笑顔にしてくれる。大好きだよ、蒼空」