蒼空はいろんな表情を見せてくれる。


屈託ない笑顔も、怒った時の真剣な顔も、過去を思い出しての涙も、葛藤する苦しそうな顔も。


その全てが私の心を動かす。


ずっと蒼空の側にいたい。


蒼空を守りたい。


蒼空の力になりたい。


蒼空は、私のすべてだ。


この村に来て、最初に助けてくれた人。


希望をくれた人。


私を、変えてくれた人。


今私がここに笑顔でいられるのは、蒼空がいてくれたから。


蒼空がいるから私は笑える。


幸せな日々を送れる。


蒼空…好きだよ。


想いを伝える代わりに、ぎゅっ…と手を強く握る。


「ん?」


「…なんでもない」


「可愛い」


「っ!!」


不意打ち、ズルい。


「あ。花火始まる」


蒼空が夜空を指さした。


「くじ引きは後でやろ。こっち来て」


ヒューーーボッ!
パラパラパラ…


蒼空に手を引かれ、音だけが聞こえる中をサクサクと歩いていく。


いつの間にか小学校を抜け出していて、一気に人気がなくなった。