「あっ!蒼空だ!!やっと会えた!!」


遠くの方から赤の目立つ浴衣を着た真中さんが満面の笑みで近づいてきた。


真中さんは友だち数人と来ているようだ。
 

真中さんたちが目の前に来ても、蒼空は繋いだ手を離さなかった。


真中さんの視線が私たちの手に突き刺さる。


「なんか楽しそうだね。それじゃ」


さっきまでの笑顔は消え、鋭く蒼空を睨みつける真中さん。


「ちょ、待てよ。なに怒ってんの」


蒼空が私の手を離して真中さんの腕を掴んだ。


そして真中さんはあっさりそれを振り払った。


「ねぇ蒼空。気安く他の女に触れたらダメだよ。誤解招くようなことしないで」


もしかして、私と蒼空が付き合ってると思ってるのかな。


だから、蒼空と距離取ろうとしてるのかも…。


「ごめん。でも誤解って何?」


蒼空は鈍感すぎて何もわかっていないみたいだけど…。


「蒼空は紬のことを女として見てなくても、蒼空以外の人から見たら紬は女だからね」


「え、うん。そんなことは知ってるよ」


「はぁ……。森下さん、こいつこんな間抜けなの。代わりに紬が、ベタベタするのはやめるから、安心して」


え……?


真中さん…。