掴みどころのない、上っ面の会話。


本当は虐待のことを聞きたいんじゃないかな。


私が知っているのかどうか。


もしかしたらお父さんに聞いてこいと言われてるのかもしれない。


蒼空のために、絶対にバレるわけにはいかない。


肝心の蒼空はというと、おじいちゃんと話しながらヨーヨー釣りの水槽を眺めていて私とお母さんのことには気づいていない。


「蒼空に何か言われて困ったら、遠慮なく私に教えてね」


「わかりました。ありがとうございます」


乗り切れたかな…?


蒼空のお母さんは蒼空に声をかけることなく、射的の屋台の奥へと引っ込んでいった。


「花純?早く来て〜。勝負しよ!」


「あっ、うん!」


たぶん大丈夫だ。


何も不自然な振る舞いはしなかったはず。


蒼空を苦しめることだけは絶対にしたくない。