「森下のじいちゃん、今年はヨーヨー釣りやってるんだっけ?」


「うん、そうみたい。早朝から張り切って準備始めてるっておばあちゃんが言ってたよ」


おじいちゃんも毎年屋台を出している側の人みたいで、今年はヨーヨー釣り。


去年はスーパーボールすくい、一昨年はお宝すくいだったみたいだ。


その前の年までは畑で採れた野菜を使った野菜炒めを売っていたみたいだけど、人気が出なくてやめたらしい。


「せっかくだし、森下さんの店行こうよ。俺、ヨーヨー釣り得意なんだよね」


「でも…」


おじいちゃんの屋台は、蒼空の親が出している屋台の隣だ。


いいのかな…。


「ささ、レッツゴー!」


まったく気にしていない素振りだけど、蒼空の本心は分からない。


でも、私が暗い顔をするのは違う。


「うん!行こ!どっちが多く取れるか勝負ね!」


「いーけど、俺負けないよ?マジで得意だから」


得意げな顔をしておじいちゃんの屋台に近づいていく。


そのお隣で蒼空のお父さんが射的の景品を並べ直している。


蒼空のところは射的かぁ…。


子供たちに大人気で、既に5、6人が順番待ちをしている。