モデルさんかと思うほどすべてが整っている。


「けっこー時間かけてセットした。どう?」


「カッコいい…」


恥ずかしくて大きな声では言えないけど、本当に本当にカッコいい。


「なんて?もっとちゃんと言ってほしいなー」


「…意地悪だ……」


絶対聞こえたでしょ…。


ニッと口角を上げ、いたずらっ子の笑みを浮かべている。


「好きな子には意地悪したくなるのかもね〜」


っ!?


今の、空耳…?


幻聴……?


「花純ん家から中学校はかなり遠いのに、小学校はけっこう近いんだよね。もうあと5分もしたら着くよ」


え…と…、やっぱり幻聴だった…?


サラっと流れすぎて、幻な気がしてきた。


蒼空は表情ひとつ変わってないし…。


「この村にこんなに人いたんだってぐらい人集まってるから、迷子になんないでね」


そう言って手を差し出してくる。


「離さないでね」


蒼空を見上げて手を握り返す。


「はい、反則!上目遣いは可愛すぎて反則!」


「えへへ。仕返しだよ」


蒼空の大きいけど細い手をぎゅっと握りしめる。


絶対に離したくない。


ずっとこのままでいたいな…。