「マジで浴衣似合う。髪型も!メイクもいつもと違う!こっちも可愛い!超可愛い!」


一点の曇もない無垢な笑顔で褒めちぎられ、茹でダコのように赤くなるのがわかる。


「花純、蒼空、並んで並んで」


おばあちゃんがカメラを構えて微笑む。


「花純、こっち」


「う、うん」


スマートに手を引かれ、蒼空の横に肩を並べる。


少し身体がくっついている絶妙な距離で、余計に心臓がバクバクする。


「はい、ちーず」


パシャリ


また1枚想い出の1ページが刻まれた。


「いい笑顔!じゃ、気をつけていってらっしゃいね」


おばあちゃんに見送られ、森下家を後にする。


ド、ド、ド、ド、ド…っ


信じられないくらい心拍数が増大している。


蒼空がカッコよすぎるんだよ…。


並んで歩くだけで緊張する…。


今、歩き方が分からなくなるぐらい緊張している。


「花純マジで可愛い。いつも可愛いけど、今日は過去一可愛いかも」


「そ…蒼空こそ…」


蒼空こそ過去一カッコいいよ…。