「俺は浴衣着ないから、花純も無理しないでね。ごめんね」


「浴衣暑いもんねー。お腹苦しいし。私も私服にしようかな〜。いっぱい屋台のごはん食べたいし」


蒼空が言いたいことは違うだろうけど、あまり暗い気持ちにはなってほしくない。


本当は、浴衣を着せてくれる人がいないことや、身体の痣が見えてしまうから着れないんだと思う。


でも、せっかくのお祭りなんだからそんなことは忘れて楽しんでほしい。


「もし浴衣着たいんだったら、遠慮なく着てね。お任せする」


「蒼空はどっちがいい?」


「ワガママ言うと、花純の浴衣姿見てみたい」


っ…!!


そんなこと直々に言われたら、着るしかない。


可愛いって思ってもらいたい。


ヘアセットして、メイクもして、浴衣を着て。


可愛い姿で会いたい。


「じゃあ浴衣着るね!」