蒼空との会話を遮られた形なのに、嫌な顔せずむしろ乗り気で聞く姿勢を見せる真中さんは、やっぱり素敵な人なんだと思う。


蒼空のことになるとトゲトゲしくなるけど、悪い子じゃない。


根はすごくいい子だ。


だからなおさら勝ち目がないと思ってしまう。 


「じゃあお邪魔しちゃおっかな。ありがとね!」


「ううん。紬も、誰かと一緒にお菓子食べたかったから。東京の有名な洋菓子店の商品なんだって」


こういうところがとても可愛いくて羨ましい。


私には無い一面だ。


基本的に真中さんはあざといとは対極の性格だから、狙って言ってるわけじゃない天性のものなんだろう。


こんな人に勝てるわけないよね、私が。


「あ、蒼空。今年は宿題見せないからちゃんと自力でやりなさいよ?」


「お前は母親か!言われなくてもやりますぅ」


「そう言ってやってきた年ないでしょ」


いいなぁ…。


幼なじみの会話だ。


今まで毎年真中さんが蒼空に宿題見せてあげてたのかな。


「今年は大丈夫。てか早く帰れよ。萌音がお菓子待ち遠しそうにしてんぞ」


「うるさいなぁ。じゃあね、また夏祭りで」


……っ!


夏祭り、一緒に行くんだ。


もう約束しちゃったんだ…。