「じ、自分で誘うから…」


心の準備ができてから、だけど。


準備ができる日が来るのかもわからないけど。


「今日中ね!わかった?」


「今日中!?」


「うん。だって花純、期限決めなかったら当日まで先延ばしにするでしょ」


…バレてる…。


私の行動、読まれてる…。


当日ドサクサに紛れて誘おうかと思ってたのに…。


「だから今日中ね。おっけー?」


「わかったよー…」


萌音の圧に押され、約束してしまったけど…。


本当に誘えるのかな。


勇気出るかな…。


どうしたもんかと考え始めた時、いきなり萌音が蒼空たちに近づいていく。


「え、ちょ…」


何するつもり…?


まだ何の心の準備もできてないよ…!?


「紬ー。ちょっといい?秘密の相談」


萌音が紬に話しかけ、私の方へ向き直ってこっそりウインクを飛ばしてくる。


「相談?紬に?なんで?」


「この学年で1番モテるの紬でしょ。だから相談したいことがあるの」


上手いなぁ萌音…。


そういう頼まれ方をしたら真中さんだって嫌な気にはならないし、自然に外に連れ出せる。


「別にいいけど。長くなりそうなら、紬の家来る?ちょうどママが美味しいお菓子買ってきてくれたんだよね」