蒼空の瞳が揺れる。


拳を握りしめ、深いため息をついた。


「紬に対してあんなふうに怒鳴るなんてさ…。結局俺はアイツの息子なんだよ」


あんなふうにはなりたくないのに。


そう呟いて机に突っ伏してしまった。


「蒼空はお父さんとは全然違うよ。だって、私のために怒ったんでしょ?」


「それでも、大声を出して相手を黙らせようとした時点でアイツと同じだ」


「違う」

  
自分を責めないでほしい。


自分を憎まないでほしい。


「誰だって声を荒げちゃうことぐらいあるよ。お父さんの血とか関係ない。蒼空は、人の痛みが分かる心優しい人だよ」


「そうかもしれない。でも!怖いんだよ。俺にはあの凶暴な血が流れてる。いつかあんなふうになるんじゃないかって。今日がその予兆だったのかもしれないじゃん」


蒼空…。


蒼空がそんなところまで苦しんでいたなんて。


血縁関係の呪縛…か…。