図書室に入ると、窓辺に佇む蒼空の姿があった。


「蒼空」


蒼空には近づかず入り口から声をかけると、驚いた顔で振り返った。


「なんで花純が?」


「真中さんに居場所聞いた」


「そ」


「ホームルーム始まるよ」


不機嫌な蒼空を見るのは初めてだ。


蒼空が怒ったところも初めて見た。


気だるそうに淀んだ瞳でジーッと私を見つめる。


「…入っていい?」


「いいんじゃない?別に俺の部屋のじゃないし」


イライラを含んだ語調だけど、椅子を引いてくれて、その隣に蒼空自身も腰を下ろした。


暑い日差しを背にして並んで座る。


「蒼空、図書室好きなの?」


「……まぁ。本が好き」


「そうなんだ」


本読むんだ。


なんか意外だなぁ。


スポーツ少年なイメージがあるけど、実際は違うのかもしれない。