「紬、不貞腐れてないで謝りな?ね?」


友だちに促されて、真中さんは渋々口を開いた。


「…ごめんなさい」


真中さんは良くも悪くもすごく素直な人なんだと思う。


真っ直ぐに蒼空のことを好きでいて、誰にも邪魔されたくないと思っている。


好きっていう感情を隠すこともしない。


真中さんのように生きれたら、と思ったりもする。


こんなふうに素直に感情表現できたらいいのに、と。


「たぶん蒼空は図書室にいる。紬が行っても喧嘩になるから、森下さんが行ってきて」


真中さんが教えてくれた。


「わかった、ありがとう」


悪い子じゃない。


気が強いだけで、いじめっ子気質ではない。


杏と真中さんは全然違う。


それに気づけてよかった。


ただ、これからも蒼空と私が仲良くすれば真中さんはどんどん不機嫌になるだろうな…。


そうなったら、クラスの雰囲気が悪くなっちゃうよね…。


お揃いのキーホルダーなんてつけてこなければよかった…。