「花純、追いかけたほうがいいんじゃない?」


萌音が言ったのが逆鱗に触れたのか、真中さんがキッと私たちを睨んだ。


「そうだよ、追えば?蒼空は森下さんのものなんでしょ?追いかけてあげなよ」


「でも…。真中さんが行ったほうが…」


「は?嫌味?うざ」


また、間違えてしまったのかもしれない。


前の学校みたいなことが起こったらどうしよう…。


「花純。行ってあげな?大丈夫だから」


萌音が背中をさすって落ち着かせてくれる。


そうだ、私には萌音がいる。


真由も律もいる。


前の学校とは違う。


「紬は言い過ぎ。花純ちゃんごめんね?この子、子どもっぽいところあるから。私たち誰もよそ者なんて思ってないから。ね?紬」


真中さんといつも一緒にいる子まで私の味方でいてくれる。


…なんて…温かい学校なんだろう…。


「紬が行くとこじれるだろうから、代わりに花純ちゃんが蒼空のところ行ってあげてほしい」


こんな優しい世界、あるんだ。


またいじめられるんだって覚悟してたのに。