「花純に謝れ」


「は?なんで?」


「謝れっつってんだよ!」


蒼空が怒鳴るところを初めて見た。


それはクラスの子たちも真中さんも同じだったみたいで、シン…っと静まり返る。


真中さんはバツが悪そうに視線を泳がせている。


「大きい声出してごめん。でも、その言葉は許せない」


「…紬だって…。紬だって、許せない。蒼空が紬をテキトーに扱うの、嫌だもん。傷つくもん」


「今そんな話はしてない。よそ者って発言を謝罪しろって言ってんだよ」


…蒼空……。


蒼空は私の過去を知っているから、庇ってくれてるんだよね…。


でも、蒼空が私を庇えば庇うほど、私は真中さんに嫌われる。


また、前の学校みたいになる…。


「しない。蒼空が紬を優先してくれるまでは謝らない」


「だったらもういいよ。わかった」


蒼空が真中さんを一瞥し、教室を出て行く。


誰も何も言わず、蒼空と真中さんの決裂を見つめていた。