当然のように手を引かれ、一瞬脳がフリーズしかけた。


だけど、何も考えなくても自然とその手を握り返していた。


…蒼空は、誰とでもこういうふうに手を繋ぐんだろうか。


真中さんとも、こんなふうにしてる…?


自転車の2人乗りは真中さんともしてるし、あのカフェにも何度も真中さんと来ているみたいだった。


だったら、この手も…。


「…花純だけだよ」


「え…?」


心を読んだような発言にドキッとする。


「家族の話をしたのも、手を繋ぐのも、花純だけ」


「そう…なんだ…?」


それって、期待してもいいのかな…?


「あ。雑貨屋さん、ここじゃない?」


パッと手が離れ、蒼空の温もりが失われる。


もっと繋がっていたい…。


もっと、近くにいたい。


もっともっと…。


「へー、可愛い。日和が好きそうなのいっぱい売ってる!」


蒼空が目を輝かせて商品棚をあちこち眺めている。