千花さんのパンケーキは本当に美味しくて、あっという間に食べ終わってしまった。


食べ終わる頃には蒼空の元気も回復し、にこやかな状態に戻っていた。


「蒼空。これ自由に使いな。あいつらろくにお小遣い渡してないだろうから」


千花さんが白の封筒を蒼空に渡す。


「でも…」


「日和の分も入ってるから。あの子がもう少し大きくなったとき用に蒼空が貯めときな?」


千花さんが蒼空を保護した時って、どんな感じだったんだろう。


その時の蒼空はどれほどズタボロだったんだろう。


「わかった。ありがとう」


「ううん。何もしてあげられなくてごめんね」


「しょうがないよ。千花ちゃんには千花ちゃんの暮しがあるんだから」


蒼空は大人だ。


大人にならざるを得なかったんだと思う。


まだ小さい妹を守らなきゃいけないから…。


「お代はいいから、また顔出してよ。無理したらダメだからね」


「いつもごめん。ありがとう。じゃ…花純、行こっか」


蒼空が封筒を手に持って立ち上がる。


「ごちそうさまでした。美味しかったです」


「いえいえ〜。花純ちゃんも、またいつでも来てね。蒼空の昔話でも聞かせてあげるから」


暗い空気を吹き飛ばすように笑う千花さん。


「また、来ます。ありがとうございました」