どれくらいか時間が経った頃。
 涙は、仄かな羞恥心に変わった。

「みっともないところ見せちゃった。ごめん、涼子さん」

 眠気はもうすっかりなくなったけれど、空腹感はない。
 そんな私の様子を察してか、涼子さんは「後でお腹が空いた時に食べればいいわ」と言い残して、部屋を出ていった。

 すっかり腫れあがってしまった目元を拭ってから、先にお風呂に入ってしまおうかと思い立ち、準備をするべく立ち上がった。
 辺りは静寂に包まれていた。いつもなら聞こえる鳥や犬の鳴き声、車のエンジン音、木々の擦れる音さえ聞こえない。

 なんだか、とても寂しい夜だ。
 そんなことを思いながら、私は部屋を後にした。