心配そうにこちらを見てきた彼の首筋に噛みつきたくて仕方なかった。
「血が欲しくてたまらないの。どうしたらいいの…?たすけてっ…フィル…!」
「大丈夫、大丈夫だよ」
喉が渇いた。血が血が、欲しくてたまらない。助けて。助けて助けて助けて助けて。
彼は服のポケットの中から、赤い液体の入った小瓶を出して私に見せる。
「血だよ。大丈夫。僕のだから、誰も傷つけてないよ」
私はその小瓶を受け取り、中にある血を飲むと喉の渇きが少しだけなくなった気がした。
「フィル、私どうなってるの…?」
彼は、不気味なほど愛おしそうな目で私を見て、話した。
「君の特異体質なんだ。血を摂取しないと、君は猛烈な喉の渇きと破壊衝動に襲われてしまう。そして、その代わり君はとてつもなく力が強くなる。ほら、これを力いっぱい握ってごらん」
彼から渡された金属を、言われた通り力いっぱい握ると粉々になった。
「え…?」
すごく怖くなった。怪物みたいな体質に、常人とは思えない力。