「まだ好きなの」

 顔を真っ赤にさせて、今にも壊れちゃいそうに儚いララちゃんが、私に一歩近づく。
 
「私たち、両想いだったのにちょっとしたことですれ違って別れちゃって……彼も、私のことをまだ好きでいてくれてる。その証拠に、先週会ったときだってキスしてくれたもん…!」

「え……?」

 キス…? 先週?
 
 ララちゃんは涙を溢れさせながら、私の元にやってきては、勢いよく私の肩を捕まえた。

「お願い……っ、私たちほんとに愛し合ってるの……!今は自暴自棄になってあなたを私の代わりにしてるだけだと思う……!最低なこと言ってるってわかってる、でも、私にはあの人しかいないの……!お願い、お願いっ!彼を返して!」

 きれいなお化粧がとれることもいとわず、華奢な体を震わせて、私に縋り付く。

 ララちゃんの本気さが伝わってきて、鳥肌がたった。


 ……依澄くんはララちゃんと別れて自暴自棄になってた?

 ララちゃんの代わりなら、誰でもよかったの?

 1カ月お試しでって言ったのも、その方が都合がよかったから……?