あんなに楽しみにしていたはずの映画が始まってもぐるぐるとララちゃんのことを考えちゃって、全然集中できずに気付いたらエンドロールが流れていた。


「先輩?」

 依澄くんに声をかけられてハッとする。

「どうしたの?もしかして具合悪い?」

「あっ、ううん、ごめん、大丈夫!えっと……トイレ行ってくるね!」

 心配そうな顔をする依澄くんを残して、私は劇場の外にあるトイレに向かった。

 個室に入って深呼吸する。

 ……駄目だ、不安でどんどん気分が沈んでいく。

 依澄くん心配してるよね。

 せっかくのデートなんだから、気持ち切り替えなくちゃ。

 依澄くんはあんなにかっこいいんだもん、元カノの一人や二人、いて当たり前。

 気にしない、気にしない!


 私は自分にそう言い聞かせて個室を出た。


「……あ」


 そこに、依澄くんの元カノさんがいた。