俯く視界に、男の人の足が入り込んできた。

 黒いドレスシューズに白靴下、グレーのスラックスを履いている。


 ナッ、ナンパ……!

 
「甘いもの好き?美味しいケーキ屋さん知ってるんで一緒に行きませんか」


 突然のことに、怖くて顔があげられない。

 
「は、わ、わた、私、えっと」


 ど、どどどどうしよう! 依澄くん、助けて……!


「……三点」

「へ」


 突然何かの点数を言われて、思わず顔をあげる。


「そこは〝間に合ってます〟でしょ」


 ナンパしてきたのは、


「依澄くん!」


 私が待っていた人だった。