私はエセルバードの言葉が衝撃的過ぎて、一度にはすべて理解することが出来なかった。

 司祭を殺したのは……エセルバードだったの? だから、それを王に頼まれてジュリアスが被った。

 ……好きな人の息子だったからってこと?

「……殿下の仰ることは、僕には理解出来ません。父からもそのようなことは何も聞いていません」

 ジュリアスはここに来ても、自分があの騎士団長だと認めないらしい。私はただ、呆然としていた。

 エセルバードの、自分勝手な最低さ加減に。

「何を言っている。ジュリアス。お前自身のことだ! 哀れな英雄だなぁ? 尽くしたものにすべて裏切られて……世界を何度も救って英雄と呼ばれようが、たかが一度の過ちを理由に手のひらを返す。ははは。お前ほど、人民の為に尽くした男も居ないだろうに。真実を明かすことも出来ない! 可哀想だ」

 エセルバードは気が触れたように笑って、ジュリアスは私の手を引いた。

「……行きましょう。殿下の声を聞いて、誰かがお付きの者を呼んでいるはずです」

 叫びだしたエセルバードの声は、確かに大きかった。

「あのっ……大丈夫なんですか?」