「あ、やっとわかった! あの『陽気なサンタ』って、奏のことでしょ」

「は? 『陽気なサンタ』?」

「そうそう。結構レジの方で話題になってたんだよ。今年の総菜コーナーのサンタが超ノリノリだって」

「あー、そうそう。たしかにそれ、俺だわ。ちょっとは売り上げに貢献できたと思うんだけど?」

「うん、バッチリだよ」


 夕方に雪が降りはじめるまでは、たしかに売り上げは好調だったはず。


「客がたくさんいる間はよかったんだけどさ。一人でポツンと突っ立ってるサンタ、きっついぞー」

「あははっ、たしかに!」


「——あのさあ、君たち。そろそろここ、閉めたいんだけど」


 二人の笑い声が再び重なったとき、うしろから遠慮がちな声がした。


「ご、ごめんなさい!」

「すんません。お疲れさまでした!」


 二人して大粒の雪の降る中に飛び出すと、顔を見合わせてまた大笑い。