「え、マジでこんなにもらってっていいんすか!?」


 大きな声が、スーパーの裏手にある関係者出入口まで聞こえてきて、タイムカードを押そうとしたわたしの手がビクッと止まる。


「若いんだから、遠慮はいらないよ。もっと好きなだけ持ってきな」

「あざーっす」


 あれはきっと、さっき見かけた大量の売れ残りのフライドチキンの押し付け合いに違いない。

 夕方に降り出した雪の影響で、思ったよりも売り上げが伸びなかったみたい。


 ホワイトクリスマスだっていって喜ぶのは、純粋な子どもたちと、ラブラブなカップルくらい。

 クリスマスイブの売り上げを多めに見込んでいたうちみたいなスーパーにとっては、大打撃でしかないだろう。


 かくいうわたしも、売れ残りのホールのクリスマスケーキを押し付けられた。

 少し小ぶりな直径15センチくらいのケーキだけど、一人暮らしのわたしには十分すぎる大きさだ。