「じゃあさ、やっぱ明日来いよ」

「…………」


 なんか、奏にもう一度言わせたみたいになっちゃってない?

 ダメだなあ。

 いっつも受け身で。


 高校のときだってそうだ。

 奏に無理やり軽音部に引きずり込まれて、結局三年間、奏のバンドでボーカルをやらせてもらって。

 でも心の中ではいつだって、

『わたしにはどうせムリだってわかってる』

『わたしみたいな普通の子には、夢を見る権利すら存在しないんだ』

 なんて言い訳ばかりしてた。

 自分が傷つかないように、逃げ道を自分であらかじめ作ってたんだ。


 ねえ。いつだってそんなんだから、届かないんじゃないの?

 いいかげんそのことに気付かないと、きっと後悔するよ?