「あのさっ、やっぱり……明日、行ってもいい? 久々に奏のギター、間近で聴いてみたいし。……そうそう! WINDY……奏のバンドの動画見たよ。バラードもいいけど、やっぱりわたしはポップなやつが好きだなー。……あ、もちろん明日じゃなくても、いつでもいいんだけどさ」

 なんとか奏をつなぎとめたくて、必死に言葉を紡ぐ。

「ポップなやつって、ひょっとしてSunny Days? 俺もあれ、一番気に入ってるんだよね。今聴くには、ちょっと季節外れだけどさ」

「そうそう、それそれ! すんごい奏っぽいなーって。……あの曲があったから、わたし、受験勉強がんばれたんだよね」

 思わず握りしめる手にきゅっと力が入る。


 そう……わたしは昔から奏の奏でる音楽が大好きだった。

 奏が楽しそうに奏でるギターの音も、「はじめて自分で作曲したんだ」って言って、恥ずかしそうに聞かせてくれたあの曲も。

 なんていうか……たとえるなら……恋してる、みたいな?

 人間の男の子への恋心はいまいちよくわからないけど。

 うん。きっとわたしは、奏の音楽に恋してるんだ。