「こんなこと茉莉花に言っても困らせるだけかもしれないけど、俺は一年前からずっと茉莉花が好きなんだ」



千瑛の言っている意味がわからなかった。


もしかして、今目の前にいる千瑛は私が作り出した夢?


じゃないと納得がいかなかった。だって、千瑛の好きな人は私じゃないんだから…。



「茉莉花は記憶がないからわからないと思うけど、俺たちは一度付き合ってたんだ。…だけど、俺は茉莉花を苦しめて傷つけるだけで、結局守ってあげられなかった」



違うよ、千瑛…。私はずっと嘘をついていたの。


もう傷つきたくなかったから。千瑛の幸せを願っといて、千瑛が私じゃない誰かといるところなんて見たくなかったから。


だから、千瑛への気持ちなんて最初からなかったことにした。



「あの時の茉莉花は、俺と付き合わなかった方が幸せだったのかもな」



そんなことない。たしかに辛かったこともあったけど、それよりも千瑛は私にたくさん幸せをくれた。


たくさん笑顔をくれた。