そう言うと、にっこり笑って「じゃ、詳細はまた連絡します。残業頑張ってくださいね!」という言葉を残し、階段を降りて、非常階段のドアから出ていった。


その後ろ姿を見送った後、雪奈はしばらくその場で呆然と立ちすくんだ。



信じてもいいのかな。



こんな私でも、二宮くんが私を好きだと思ってくれてるって思っていいのかな。



大和の言葉に反応して、勝手に期待感が高まる。


だんだんと、大和が好意を持ってくれていることを信じてもいいような気がしていた。


それに…


──私、もう二宮くんのこと、好きなんだ。


ドクンドクンとゆっくり脈打つ心臓の鼓動と、まだ体全体が覚えている大和の力強さと温もり。


それら全部が嬉しいと思うその心が、雪奈の気持ちを代弁していた。