「え…で、でも…私は、彼氏に浮気された上にフラれた残念な女なのに、好きになってもらえる理由なんて──」


「そりゃ、好きになる理由なんて、うちらには分かんないよ。本人しか知らないことなんだから。」


「それは…まぁそうだよね…」


「ただ、とりあえず分かるのは、二宮くんが雪奈に積極的にアプローチしてるってことだよ。好きじゃない先輩を、何回も抱きしめたりなんか、するワケないじゃん。それともなに?二宮くんって、超チャラい男なの?」


「ま、まさか!人当たりがいいだけだよ!それに直向(ひたむ)きで、真面目だし。」


「じゃあ疑う余地なんてないじゃん。彼の素直な愛情表現でしょ、どれもこれも。」


「あああ愛情表現って…!!」


かぁぁっ!っと顔が熱くなるのを感じながら戸惑う雪奈に対し、世那は、あははっ!と盛大に大笑いした。


「まぁ、嫌じゃないっていうなら、ひとまず今は素直に受け止めてさ、お言葉に甘えておけばいいじゃん。別に焦る必要もないんだし。」


「そ、そっか!そうだよね。」


確かに、大和から好意を持たれているとしても、嫌ではない。


むしろ…嬉しいと思えていた。



──素直に、甘えていいんだ。



世那に背中を押され、気持ちを前向きにできている自分がいた。