「…という感じで…私、元彼と別れてまだ半月くらいしか経ってないのに、もう二宮くんのこと気になっちゃってて…。ホント、チョロ過ぎるよね。あんまり勘違いしないようにしなきゃとは思ってるんだけどね…。」
悲しげに笑いながらピザを食べる雪奈を見て、世那は「勘違い?」と尋ねた。
「なに?なにを勘違いするの?」
「え?だって二宮くんって営業部のエースだから、親切心で色々気遣ってくれてるんだし…」
そう言った雪奈を見て、世那はピザを頬張りながら目を丸くした。
「え、親切心だって思ってるの?二宮くんがそこまでしてくれてることを?」
「う、うん。だって二宮くん、ホントにいい後輩で──」
「うわぁ…二宮くん、かわいそー。」
世那は眉根にシワを寄せ、いかにも『気の毒。』といった表情だ。
「え?え?だって、いつも親切だし、気配りできて仕事もできて──」
「後輩が、ただの先輩にそこまですると思う?」
「え?う、うん、二宮くんならしかねない…」
「じゃあ、雪奈は失恋した男の先輩に気を遣ってハグして励ましたりするの?食欲ないって言う先輩を気遣って、仕事が休みの日にわざわざ食事に誘ったりするわけ?」
「た、確かに…しないかも…。」
「しないかも、って!フツーしないでしょ。好意でもない限り。てことは、二宮くんは雪奈に対して好意あるってことでしょ。」
「そ、そうなのかな…?」
「そうだよ。」
世那はそう言いきって、また一口、ピザを頬張った。
自信たっぷりの世那を前に、雪奈は動揺を隠せない。