「世那、ありがとう。私も別れてよかったって思えてきてるよ。」
「そう?2年半も付き合ったらもっと落ち込んでも良さそうだけど…もしかしてもう好きな人でもできたとかじゃないのー?」
ニヤニヤしている世那から出てきたその言葉に反応して、自分の顔が一気に赤くなるのが分かった。
正直な雪奈の反応に、世那が「おぉ!マジでいるの、好きな人!?」と驚いている。
「意外!雪奈ってなかなか好きな人作らないイメージなのに。」
「うぅ…そうだよね、ちょっとチョロすぎだよね、私…」
「まぁ、チョロいかは状況次第だけど…その人と何があったのよ?」
世那がずいずいっと前のめりになったその時、ちょうど注文していたピザとパスタが運ばれてきた。
雪奈はピザカッターでピザを切り分けながら、大和のことを少しずつ話した。
落ち込んでいる自分を気にかけて、よく話しかけてくれること。
公園で知らない男に絡まれた時に助けてもらったこと。
その晩から、よくハグをしてくれるようになったこと。
昨晩は大和に誘われ、一緒にご飯を食べに行ったこと。
切り分けられたピザを頬張り、相槌を打ちながら、世那は雪奈の話を一通り聞いてくれた。